壁面ツタの葉 メリットデメリット
以前、現場調査にお伺いしました住宅です。こちらはツタの葉が外壁に生えています。外壁の状態もチョーキング症状がでておりますので塗り替えの時期だとわかります。
ツタの葉はメリットとデメリットがあります。
メリットは、
●室温上昇を抑えられる
ツタを生やすメリットの一つは、室温上昇を抑えられる事です。夏の西日は強烈で、西側の部屋は夜中になっても暑いという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そんな強い西日を受ける部屋であってもツタを外壁に生やせば室温の上昇を抑える事ができます。ツタが西日を遮り壁に当たる日差しを軽減してくれます。
一方で、冬場はツタが落葉するので、西日が遮られず室温が保たれるという利点があります。自然の摂理を活かした丁度いい緑のカーテンですね。
デメリットは、
●ツタのメンテナンスが大変
●外壁が劣化しやすくなる
外壁にツタを利用した場合に大変なのが、メンテナンスです。
ツタはとても丈夫な植物です。地面に植えたらよほどのことがない限り枯れ落ちることはありません。ツタは、カエデやイチョウのように紅葉を楽しめますが、その後落ち葉になってしまいます。この落ち葉掃除が大変です。地面に落ちた葉もそうですが、風に舞って雨樋に詰まることもあります。また夏には虫も発生します。植物を住居とする小さな虫からその虫を餌とする様々な虫が集まってきます。
外壁に生えるツタは「吸盤」と「気根」を使って壁に張り付きながら成長し、最終的には壁一面にツルを張り巡らせる程育ちます。この「吸盤」と「気根」が外壁を劣化する要因です。
外壁の小さな凸凹や隙間に張り付いて成長してしまうため、外壁材を傷めたりシーリング部分に根を張って劣化させたりします。
ツタには種類がいくつかあります。
①ナツヅタ
最もツタらしい雰囲気をもつ品種。落葉性なので、春から夏は緑葉、秋は赤く紅葉して美しい品種です。冬は葉がなくなり壁面が現れます。日本に自生している品種なので強健で公害にも強く、耐寒性が非常に高いツタです。成長も早いため人気があります。茎から気根をだして壁面に自力で登反します。ひたすら上に伸びるので、グランドカバーには使えません。
※グランドカバーとは、造園において地表を覆うために植栽する植物を指します。主に葡匐背のものが使用されます。芝生もグランドカバーの典型ですが、通常の意味では含めないことが多いです。
②キヅタ(フユヅタ)
こちらも日本のツタです。常緑性なので、ナツヅタに対してフユヅタと呼ばれます。ナツヅタよりも寒さに少し弱いため、植栽は東北以南で。これも気根で自力登はんします。またグランドカバーとしても利用できます。敦賀のびて成形葉のでたものは自力では登はんしにくいので壁面用の場合は、小苗のうちに植えましょう。
③ヘデラ・ヘリックス
常緑のアイビーの仲間です。品種はいろいろあります。地面を覆うように広がるタイプ、下垂するタイプ、登はんするタイプと品種により異なるので、目的により選ぶようにしましょう。白斑の代表品種は「グレーシャー」黄斑の代表品種「ゴールドハート」です。グレーシャーはグランドカバー用ですが、上にも伸びるので壁面にも使えます。ゴールドハートは、登はんタイプです。どれもナツヅタと混植すると成長が早くなります。
ツタを壁面に這わせるのは建物に良いのでしょうか、悪いのでしょうか。はっきりした定説はないようです。メンテナンスを怠らずに手入れすると、非常に魅力的な壁面となります。
使う場所を良く選んで常に美しく保つのがコツになります。