雨樋の役目・役割
今回は、雨樋の役目・役割についてお話したいと思います。
雨樋とは、一般的には「あまどい」「あまとい」と呼ばれますが、【とゆ】や【とよ】などと呼ばれることもあります。
主に「軒樋」「集水器」「竪樋」の3つの部品を通して雨水を流しており、様々な形状や素材の種類があるため、地域の気候などを考慮して
建物に合った雨樋を設置します。
★雨樋の役目★
①建物を守る… 雨樋は、建物を守る役割があります。雨樋が設置されていない住宅の場合屋根から流れる雨は軒先から外壁へ伝ってしまいます。そうすると外壁が雨水で汚れてしまったり、雨漏れの原因になってしまいます。しっかりと雨水を下水へ流す事でそういった被害から建物を守っています。
②騒音対策… 雨樋は雨音による騒音対策の役割でもあります。軒先から雨水が滴り落ちて地面に跳ね上がることで騒音が発生します。そうならないように、雨水を下水へ運ぶ役割も果たしています。
③シロアリ対策… その他、雨樋はシロアリ対策の役割もあります。雨水が軒先から地面に落ちると建物の基礎周りが濡れやすくなってしまいます。基礎周りの湿度はシロアリが住み着く条件にもなっているため、シロアリ被害に遭いやすい環境になってしまいます。
雨樋を設置しないという選択は??
雨樋は、設置が義務付けられた設備ではありませんので、様々な理由から雨樋を設置しない住宅も存在します。雨樋を設置しないメリットデメリットをしっかりと把握しましょう。
◎設置しないメリット◎
・雨樋の清掃が不要になる 雨樋は定期的なメンテナンスが必要となる設備です。雨樋のメンテナンスで多いのが詰まりです。風などで舞い上がった土や埃が雨水と混ざり泥となり詰まる原因となります。詰まりは経年劣化に関係なく起こってしまう現象な為、住宅の立地環境によっては、メンテナンスの頻度が非常に多くなってしまうケースもあります。
・メンテナンスが不要になる 雨樋は寒冷地などの場合、雪の重みで曲がったりずれたりすることも多いです。そのような場合は、修理や交換をしなければなりません。雪以外でも、割れや欠けなどの症状が発生した場合もメンテナンスが必要となり、費用がかかってしまいます。また雨樋があると定期的に塗装も必要となります。雨樋は塩ビやプラスチックなどの様々な素材でできていますが、そのほとんどは、塩ビ製のものです。劣化すると割れやすいため、塗装を行う必要があります。雨樋を設置しない事でこのようなメンテナンスを行う必要がなくなるというメリットがあります。
・意匠性 雨樋を付けないことで非常にシンプルになります。外観のデザインによっては雨樋がないほうがおしゃれな場合もあります。
◎設置しないデメリット◎
・雨漏れのリスクが高くなる 雨樋は屋根を流れる雨を下水にながす役割があります。雨樋を設置していないと外壁が雨水に晒されるリスクが高くなり雨漏れの原因になります。
・美観性を損なう 雨樋を設置していないと雨水が外壁に伝うだけではなく、軒下に垂れ落ちます。屋根面には風などで舞い上がった土や埃が付いているため、屋根を伝う雨水は非常に汚く外壁や建物周辺を汚す原因にもなります。
・様々なトラブルに繋がる 住宅街など建物が密集している場合、雨樋を付けない事で近隣トラブルに繋がる恐れがあります。軒先から垂れて汚れた雨水が隣家の敷地内に跳ねたり垂れ落ちる雨音が騒音トラブルの原因にもなります。
塗装が必要な理由とは・・・
雨樋本体は20年、塗装は10年を目安に劣化します
一般的な塩ビ製の雨樋の場合、雨樋自体の耐用年数は20年以上と言われています。これに対して、雨樋表面の塗装部分は長くても10年程度しか良好な状態を保つことができません。日差しや雨量などの条件、使用塗料の種類によっては更にそれより早く劣化し、問題のある状態になってしまうことがあります。つまり新品の雨樋を設置した場合、雨樋自体が劣化する倍のスピードで表面の塗装が劣化してしまうという事です。
雨樋の塗装が劣化するとどうなるのか(どんな症状がみられるか)
雨樋表面の塗装が劣化すると、塗装の剥がれや色あせといった症状を呈します。見た目も悪くこれまで塗装によって守られていた部分が日差しや雨水などに直接晒されてしまうので、雨樋本体部分の劣化も早めてしまうリスクがあります。外壁塗装と比べると必要性が気付きにくい雨樋塗装ですが、建物を使う上で無視できない重要な役割のある雨樋が劣化してしまうわけですから、大きなデメリットになると言えるでしょう。
見た目の悪さを改善できる!!
見栄えが悪い雨樋は、人に良くないイメージを与える
これが外壁だった場合、何十年も放ったらかしの外壁とメンテナンスしている外壁とじゃ見た目が全く違いますよね。雨樋は外壁程目立つものではありませんが、雨樋は普通外から見える位置に設置されているものです。塗装が劣化して見た目が悪くなると「古い家」「手入れされていない建物」としてのイメージを持たれやすくなります。外壁だけは、ちゃんと塗装したのに同じように劣化している雨樋のほうは放置したままだと全体としては、雨樋の見栄えの悪さが一層目立ってしまうでしょう。
☆雨樋の形状☆
雨樋の形状は、3種類あります。半円型、角型、特殊型とあります。
半円型 昔から親しまれて広く流通しているのが半円型の雨樋です。半円型は、和風住宅であっても洋風住宅であっても馴染みやすいという特徴があります。
角型 角型は、半円型と比較して流水量が多いという特徴があります。最近は突発的に大雨が降るゲリラ豪雨が増えているため、採用する人も増えています。降水量が多い地域では特に支持されており、片方がせりあがったタイプの角型の雨樋もあります。
特殊型 東北地方や北海道など積雪量が多い地域に普及している雨樋です。屋根の雪かきの際に雪が雨樋にひっかかり、破損することで雪で塞がってしまうことを防ぐため、特殊型の雨樋が使用されます。半月型や角型と比較して、価格はやや高い傾向にあります。
☆雨樋の素材別☆
・塩化ビニール
・ほかの合成樹脂
・ガルバリウム鋼板
・銅
・アルミニウム
・ステンレス
とあります。詳しく調べますと
◎塩化ビニール・・・塩化ビニールは低価格にもかかわらず組み立てが簡単で種類が豊富な為、住宅の形状に合わせやすいという特徴があります。雨樋の中でも最もスタンダードな素材です。ホームセンターなどで手に入りやすい素材となります。
◎ほかの合成樹脂・・・樹脂の表面に紫外線に強い特殊な加工を施した合成樹脂は、見た目は塩化ビニールとの違いがわかりません。塩化ビニールよりも価格は高くなりますが、耐久力が高いことが特徴です。
◎ガルバリウム鋼板・・・ガルバリウム鋼板は、屋根材として人気の素材です。錆にくく耐久性もあり、加工もしやすいという特徴があります。金属製の雨樋の中では手頃な価格です。ガルバリウム鋼板を屋根に使っている場合は統一感を出すために雨樋もガルバリウム鋼板にしてみるのも良いかもしれませんね。
◎銅・・・銅は新しく設置した時は輝く銅色で、使い込めば味わいのある緑青色に変化するという特徴があります。高価な素材で神社などで多く使用されている傾向があります。耐久性の高い素材ですが、近年の酸性雨などの自然環境の変化で築15~20年で穴が開いてしまうことがあるため注意が必要です。
◎アルミニウム・・・アルミニウムは錆に強く熱の影響をほとんど受けないことが特徴です。値段が高く流通量が少ないですが161mまで加工できる為つなぎ目が無くてスタイリッシュな印象があります。
◎ステンレス・・・アルミニウムと同様に、錆に強く耐久性が高いことが特徴です。つなぎ目が目立たないように内側よりつなぐことができます。価格はアルミニウムよりも安いですが、アルミニウムと同様に流通量が少ない素材です。